車のボンネットを開けて冷却水を確認したとき、「減ってる…これって大丈夫?」と不安になった経験はありませんか?ラジエーター液(クーラント)の減少は、放置すればエンジンのオーバーヒートや高額な修理につながる可能性があります。
でも安心してください。この記事では、
- 冷却水の役割と種類の違い
- 減少時に疑うべき部品の劣化や故障箇所
- DIYでできる点検・補充・交換の具体的手順
- 業者に頼むべきケースと費用の目安
- 色の違いや水道水の可否などのよくある疑問にも対応
について、初心者でもわかるよう徹底解説します。
この記事を読めば、「補充と交換どっちがいいのか?」がハッキリわかり、愛車を長持ちさせるための最適な判断ができるようになります。車のトラブルを未然に防ぐためにも、今すぐチェックしておきましょう。
ラジエーター液(冷却水)とは?役割・種類・重要性を知ろう
ラジエーター液(冷却水)とは、車のエンジンの温度を一定に保つために欠かせない液体です。
エンジンは運転中に高温になるため、そのままでは金属部品が変形・故障してしまう恐れがあります。ラジエーター液はその熱を吸収し、冷却することでエンジンのオーバーヒートを防ぎます。
また、凍結防止や防錆作用もあり、過酷な気候や長期間の使用にも耐える工夫が施されています。適切な種類と定期的な交換が、車の性能と安全性を長く保つ鍵になります。
こちらの章では、ラジエーター液の役割や仕組み、そして種類ごとの違いや選び方についてさらに解説していきます。
ラジエーター液(クーラント)の役割と仕組み
ラジエーター液の主な役割は、エンジンから発生する熱を吸収して放出することです。その仕組みは、冷却水がエンジン内部を巡りながら熱を吸い取り、ラジエーターを通じて外気に放熱するというサイクルです。この循環により、エンジンが適温を維持できるようになります。
ほかにもラジエータ液は以下の役割を担っています。
役割 | 説明内容 |
---|---|
熱の吸収・放熱 | エンジンの高温を吸収してラジエーターで冷やし、適温を維持します |
凍結防止 | 冬季でも凍らないようエチレングリコール等の成分を含みます |
防錆・防食 | 金属部品やホースの錆び・腐食を防ぎ、エンジンの寿命を延ばします |
圧力調整 | 圧力バルブにより、冷却系統の圧力を一定に保ち、異常な膨張や破裂を防ぎます |
これらはエンジン保護にとって不可欠です。特に、冷却性能と防錆性がなければオーバーヒートや腐食トラブルが頻発します。冷却水は使用環境や車の設計に合わせた専用設計がなされているため、水道水や他の液体での代用は絶対に避けましょう。冷却系トラブルの多くは、この機能性の軽視から起きている点にも注意が必要です。
冷却水の種類と選び方|色の違いに要注意
冷却水の選定は非常に重要です。大きく分けて「LLC(ロングライフクーラント)」と「SLLC(スーパーLLC)」の2種類があり、使用寿命と性能に差があります。色にも複数種類があり混合はNGですが、これらの違いは成分と識別用のためで、性能や車種適合性を表しているわけではありません。
種類 | 寿命の目安 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|---|
LLC | 約2年 | 一般的な冷却水。安価で入手しやすい | 交換頻度が高めで定期的なメンテナンスが必要 |
SLLC | 5〜10年 | 長寿命タイプ。新車で多く採用 | 価格は高めだが長期的に見ると経済的 |
選ぶ際には、必ず車種の取扱説明書を確認し、推奨されている種類と色を守ることが重要です。
先述のとおり、冷却水の色は、主に成分やメーカーごとの識別目的で赤・青・緑などに設定されいます。なので、色が異なるということは成分が違う可能性が高いです。
異なる色のクーラントを混ぜると化学反応を起こし、沈殿物や冷却性能の低下を招く危険性があります。見た目が似ていても性能が大きく異なる場合があるため、自己判断ではなく、必ずメーカー推奨品を選ぶことが基本です。色と種類の両方を正確に合わせて補充・交換するようにしましょう。
ここまでで、ラジエーター液の種類について分かったと思います。
では続いて、ラジエータ液が減る原因と放置すると起こりうるリスクについて解説していきます。
ラジエーター液が減る原因とは?放置は故障リスク大
ラジエーター液が減少すること自体は珍しいことではありません。しかし、その原因を正しく把握しないまま放置すると、エンジンのオーバーヒートや損傷といった深刻なトラブルにつながります。
必ずしも漏れや破損が原因とは限らず、自然蒸発や経年劣化といった正常な現象で減ることもあります。一方で、明らかな漏れや内部トラブルがある場合には早急な対応が必要です。異常の見極めには、減少ペースや補充頻度、見た目の異常などをチェックすることが重要です。
こちらの章では、冷却水が減る主な原因を3つのカテゴリーに分けて解説し、それぞれの特徴と対処法を紹介していきます。
蒸発や経年変化の影響
ラジエーター液は、エンジンを冷やすためにエンジンまわりを循環しています。一見すると減ることはなさそうですが、実はラジエーターのキャップ部分などから、走行中の熱によって少しずつ蒸発していくことがあります。
特に暑い季節や、高速道路での長時間走行では、この自然な蒸発による減少が目立ちやすくなる傾向にあります。
また、冷却水は使い続けるうちに劣化し、色が変わったり濁ったりして性能が落ちてきます。その影響で、実際には減っていなくても、量が減ったように見えることもあるのです。
こうした冷却水の自然な減少には、2つのパターンがあります。主な原因と、それぞれに対する対処法を以下の表にまとめました。
原因 | 内容説明 | 対処法 |
---|---|---|
蒸発 | 高温環境での自然な蒸発により微量減少 | 年1回の点検と必要に応じた補充 |
経年変化 | 液体が劣化し、性能が落ちたことで量が少なく感じられる | 定期交換(2〜5年目安) |
このような自然な減少は、異常ではありません。冷却水は消耗品であり、少量ずつ減っていくのが正常です。大切なのは、定期点検と補充を怠らないことです。逆に頻繁な補充が必要であれば、ほかの異常を疑うべきです。
ラジエーターやホースの破損
冷却水が目に見えて減る場合、最もよくある原因が、ラジエーターまわりの部品の劣化や破損による漏れです。
特に注意したいのは、ラジエーター本体そのものに加えて、冷却水を送るホースや各ジョイント部分のひび割れや老朽化です。
エンジンの熱や振動によってホースがこすれてしまったり、長年の使用によって素材が硬化・劣化しやすくなるため、知らないうちに漏れが進行しているケースも少なくありません。また、冷却水が漏れてもすぐに地面に垂れず、蒸発してしまうと発見が遅れることもあります。
こうした劣化や破損による減少の原因について、主な箇所とその対処法を以下にまとめました。点検時のチェックリストとしても活用してください。
部位 | よくある劣化・破損原因 | 対処法 |
---|---|---|
ラジエーター本体 | 内部腐食や樹脂タンクの劣化 | ラジエーター交換 |
ホース・ジョイント | エンジンの熱や振動によるひび割れ | ホース・バンドの交換 |
クーラント劣化 | 錆び・腐食による冷却系のダメージ | クーラント全量交換・洗浄 |
冷却水漏れのサインとしては、車を停めた後に地面にできる水たまりや、ボンネット付近からの焦げ臭いにおい、エンジンまわりに冷却水がにじんだ跡があるといったものがあります。これらは小さな異変に見えるかもしれませんが、放置するとエンジンの温度が異常に上がり、最悪の場合はエンジンブロー(致命的な損傷)につながるおそれがあります。
漏れの原因として多いのが、まずラジエーター本体の亀裂や腐食です。金属製の部品でも長年使っているとサビや劣化で穴が開くことがあります。
次に、冷却水を通すゴム製のホースやジョイント部分のひび割れ・硬化もよくある原因です。ゴムは熱や振動で徐々に傷みやすくなり、目に見えないほどの小さな亀裂から漏れが始まることもあります。
また、冷却水そのものが劣化して性能を失っている場合にも、内部の腐食が進みやすくなり、結果的に漏れを引き起こすことがあります。
このような冷却水漏れの主な原因と対処法について、以下にわかりやすくまとめました。気になる症状がある場合は、早めの点検が肝心です。
ガスケット抜け・オイル混入・キャップ不良など
わかりにくい原因としては、エンジン内部のガスケット破損やラジエーターキャップの不良が挙げられます。特にヘッドガスケット抜けは深刻です。
このような内部トラブルは外見からでは判断しにくく、見落とすと大きな故障につながるリスクがあります。では実際に起こる症状・対処法は以下の通りです。
原因 | 症状例 | 対処法 |
---|---|---|
ヘッドガスケット抜け | 白煙、オーバーヒート、冷却水とオイルの混合 | エンジン内部修理 |
ラジエーターキャップ不良 | 圧力が保てず、リザーブタンクから冷却水が噴き出す | キャップの交換 |
ウォーターポンプ不良 | 冷却水の循環不足で異常過熱 | ウォーターポンプ交換 |
これらの異常は、目視では発見しにくく、見逃すと重症化する可能性が高いです。白煙や異臭、急激な冷却水の減少などの兆候がある場合は、自己判断せず速やかに整備工場での診断を受けることをおすすめします。
重大なトラブルを未然に防ぐには、冷却水の減少サインに早く気づき、適切な対応を取ることが大切です。なかでも、自分でできる点検や交換の方法を知っておくことは、冷却系トラブルを予防するうえで非常に有効です。そこで次は、ラジエーター液の点検・交換方法について詳しく解説していきます。
ラジエーター液の点検・補充・交換方法|初心者でもできる手順を解説
ラジエーター液は、車の冷却性能を維持するために定期的な点検・補充・交換が不可欠です。自然蒸発などによる軽微な減少であれば補充で対応できますが、劣化や不具合がある場合は交換が必要になります。初心者でも正しい手順と注意点を押さえれば、自分で対応することも可能です。冷却水の種類や適合性も重要な判断材料になりますので、確認を怠らず、安心・安全なカーライフを保ちましょう。
こちらの章では、点検の頻度や見方、補充・交換の判断基準、必要な道具、そして具体的な作業手順まで、順を追って詳しく解説します。
点検のタイミングとチェックポイント
ラジエーター液の点検は、トラブルを未然に防ぐための第一歩です。特に長距離走行や季節の変わり目などはトラブルが起きやすいため、月1回を目安に点検を行いましょう。エンジン停止後に冷えている状態で確認するのが基本です。
チェック項目 | 内容説明 |
---|---|
液量の確認 | リザーバータンクの「FULL」と「LOW」間にあるか |
色の状態 | 本来の色(赤・青・緑)から変色・濁りがないか |
液面の位置 | 前回より明らかに減っていないか、減少スピードが異常でないか |
漏れの有無 | ホース周辺や地面に濡れた跡や冷却水のにじみがないか |
これらのチェックを怠ると、知らないうちに冷却機能が低下し、オーバーヒートやエンジントラブルの原因になります。点検時には、まずリザーバータンク側面の「FULL」と「LOW」のラインを確認し、下記画像のように液面がその間にあれば正常です。

また、冷却水の色が黒ずんでいたり、白く濁っていたりする場合は劣化のサインであり、交換を検討しましょう。
さらに、漏れがないかも重要なチェックポイントです。ホースの接合部やラジエーター周辺、リザーバータンク下部に冷却水のにじみや白っぽい固着跡があれば異常の可能性があります。
目視確認だけでも簡単に行えるため、これらの項目を習慣的に確認することが大切です。
補充と交換どちらが必要?判断基準とサイン
冷却水の補充か交換かを見極めるには、いくつかのポイントがあります。自然な減少であれば補充で問題ありませんが、劣化やトラブルの兆候がある場合は交換が必要です。以下の表に基づき、状況を見極めて適切に対応しましょう。
判断基準 | 補充でOKな場合 | 交換・整備が必要な場合 |
---|---|---|
減少スピード | 数か月で少し減る程度 | 1〜2週間で減る、頻繁な補充が必要 |
液の状態 | 透明で濁りなし | 色が黒ずむ、濁っている、異臭がする |
エンジンの挙動 | 異常なし | 冷却ファンが常時回転、オーバーヒートしやすい |
冷却水の状態からは、エンジン内部の健康状態も読み取れます。色や匂いの異常はクーラントが劣化している証拠であり、見過ごすと冷却機能が大幅に低下します。目安として、LLCは2年、SLLCは5〜10年が交換の基準ですが、使用状況によって前後するため、実際の症状に注目しましょう。
補充・交換に必要なものと冷却水の選び方
作業前には必要な道具と冷却水の種類を揃えておくことが大切です。冷却水は車種によって適合タイプが異なるため、色や成分に注意して選びましょう。準備するべき4つのアイテムは以下の4つです。
- 車種適合ラジエーター液(LLCまたはSLLC)
- 漏斗(ジョウゴ)
- ゴム手袋・雑巾
- 廃液処理袋(交換時)
- ▼車種適合ラジエーター液(LLCまたはSLLC)
-
車ごとに適合するクーラントの種類が異なるため、必ず取扱説明書で確認し、指定された色とタイプを選びましょう。
LLC(ロングライフクーラント)は寿命2年、SLLC(スーパーLLC)は5〜10年と長寿命です。異なるタイプや色を混ぜると性能低下やトラブルの原因になるので注意しましょう。
- 漏斗(ジョウゴ)
-
ラジエーターやリザーバータンクの注入口は狭く、直接注ぐとこぼれるリスクがあります。漏斗を使えば冷却水をスムーズかつ清潔に注入できるため、作業効率が大幅に向上します。透明タイプやじゃばら式のものが使いやすくおすすめです。
- ▼ゴム手袋・雑巾
-
冷却水は手に触れると肌荒れの原因になります。ゴム手袋を装着して作業することで肌を保護し、安全に作業を進められます。また、万が一こぼれた場合に備えて雑巾も準備しておくと安心です。
- ▼廃液処理袋(交換時)
-
古いクーラントはそのまま流すと環境汚染につながるため、必ず専用の廃液処理袋に回収しましょう。排出後は自治体の指示に従って適切に処分することが必要です。交換作業を行う際は、環境面にも十分な配慮が求められます。
これらの道具を事前に準備しておくことで、冷却水の補充や交換を安全かつスムーズに行うことができます。どれも特別な工具ではなく、ホームセンターやカー用品店で手軽に入手できるものばかりです。作業に不安がある方も、まずは道具を揃えるところから始めてみましょう。
続いては、実際の補充・交換手順と注意点について詳しく解説していきます。初めてでも安心してできるよう、順を追って説明します。
ラジエーター液の補充・交換のやり方と注意点
実際の補充や交換は、正しい手順を守れば初心者でも可能です。ただし、やり方を誤るとエアが混入して冷却性能が低下する恐れがあります。補充と交換で手順が異なるため、違いを理解したうえで慎重に行いましょう。
作業手順 | 補充 | 交換(DIYの場合) |
---|---|---|
作業前の確認 | エンジンが完全に冷えているかを確認 | 同左 |
キャップ開封 | リザーバータンクのみ | ラジエーター下部ドレンコックも開けて排出 |
液の投入 | FULLラインまで静かに注ぐ | 水で内部洗浄後、新液を注入。エア抜き作業も必要 |
最終確認 | キャップをしっかり閉め、漏れの有無をチェック | 試運転し、冷却ファン作動と液量を確認 |
DIYが不安な場合や、エア抜きが難しいと感じたら、整備工場に依頼するのが安心です。特に交換作業では、空気が混入すると冷却不良を起こすため、注意が必要です。正しい作業を行えば、冷却性能が安定し、エンジンの長寿命化にもつながります。
作業が完了したら、必ず数日後に再度液量をチェックし、安定しているか確認しましょう。ラジエーター液の管理を習慣化することで、車両のトラブル予防に大きな効果が期待できます。最後に、ラジエーター液にまつわる素朴な疑問やよくある質問についても見ておくと安心です。
ラジエーター液のメンテナンス頻度と交換時期の目安
ラジエーター液の定期的な点検と交換は、エンジンの冷却性能を維持し、故障リスクを未然に防ぐために不可欠です。見落としがちな冷却水も、オイルやブレーキフルードと同様に消耗品であるため、放置すれば劣化が進み、結果的にオーバーヒートや金属腐食などの大きなダメージにつながります。メンテナンスのタイミングは、車検や走行距離、使用環境によって変わるため、適切な目安を把握しておくことが安心・安全なカーライフを支えます。
こちらの章では、冷却系チェックのポイント、年数・走行距離を基準にした交換タイミング、そして他の液体との連携管理について解説します。
車検時に確認すべき冷却系のチェック項目
車検時は、プロの整備士が車両全体を点検してくれる貴重な機会です。中でも冷却系は、目に見えないトラブルが潜んでいることがあるため、以下の点を重点的に確認してもらうことが大切です。
チェック項目 | 内容説明 |
---|---|
冷却水の色・透明度・粘度 | 劣化や汚れ、性能低下のサインが現れやすい |
ラジエーターキャップの状態 | 密閉性が落ちると圧力が保てず、冷却効率が低下する |
タンク内の沈殿物や錆 | 内部腐食や不純物の蓄積が確認できるポイント |
ホースのひび割れ・硬化の有無 | 劣化すると漏れや破裂のリスクが高まる |
これらのチェックは、冷却機能を正常に保つために欠かせません。たとえ不具合がなくても、年数が経っていれば部品交換を提案されることがあります。特にラジエーターキャップの劣化やホースのひび割れは見逃されやすいため、しっかりと点検してもらいましょう。
年数・走行距離で見る交換の推奨タイミング
ラジエーター液の交換時期は、使用しているクーラントの種類と車の使用状況によって異なります。走行距離や使用年数を基準にして、以下の表を目安に交換を検討しましょう。
クーラント種類 | 推奨交換時期 | 特徴と注意点 |
---|---|---|
LLC(ロングライフ) | 2年または2〜4万km | 比較的短寿命。補充・交換の頻度が高め |
SLLC(スーパーLLC) | 5〜10年または10万km | 長寿命。高性能だが、交換時は必ず同一タイプで |
上記はあくまでも目安です。高温環境や山道での走行が多い場合、標準より早めに劣化が進むケースがあります。定期的な点検に加え、整備記録や説明書を確認し、適切なタイミングで交換するようにしましょう。見た目がきれいでも、性能が劣化していることがあるため、年数と距離の両面から判断するのが安全です。
オイル・ブレーキ・オートマオイルとの相互管理のポイント
冷却水と同様に、車のコンディションを支える重要な液体に「エンジンオイル」「ブレーキフルード」「ATF(オートマオイル)」があります。これらは互いに関係し合っており、1つでも劣化していれば、他の機能にも悪影響を及ぼすことがあります。以下は、それぞれの役割と管理のポイントです。
液体名 | 役割 | 点検・交換の目安 |
---|---|---|
エンジンオイル | 摩擦軽減・冷却・潤滑 | 5,000~10,000kmごとに交換 |
ブレーキフルード | ブレーキ圧力の伝達 | 2年ごと(吸湿性あり) |
ATF(オートマオイル) | ミッション内部の潤滑・冷却 | 2〜5万kmごと(車種によって異なる) |
ラジエーター液だけを交換しても、他の液体が劣化していれば本来の性能は発揮できません。点検・交換は「セットで実施する」意識を持つことで、車全体の安全性と信頼性が高まります。これらの液体はすべて車両の心臓部を支える重要パーツの一部と考えて、計画的に管理しましょう。
冷却系の管理は、車全体の健康管理の一部に過ぎません。次に確認しておくべきなのは、ラジエーター液に関するよくある疑問やトラブル例です。最後にFAQ形式で総まとめを行いましょう。
ラジエーター液に関するよくある質問と注意点
ラジエーター液に関する知識は、車のトラブルを防ぐ上で非常に役立ちますが、意外と基本的な点で迷う方が多く見られます。特に、「水道水を入れても大丈夫?」「違う色のクーラントって混ぜても平気?」といった疑問は多く寄せられるテーマです。正しい情報を知らずに自己判断で対応すると、エンジントラブルや冷却性能の低下を招く恐れがあります。確実な対応策を紹介していきます。
水道水を補充してもいい?
結論として、水道水の使用は避けるべきです。その理由は、水道水に含まれるミネラル分が冷却ライン内部で固まり、スケールとなって冷却性能を低下させるからです。さらに腐食の原因にもなるため、使用するとラジエーターやエンジンの寿命を縮めてしまう恐れがあります。
補充液の種類 | 使用可否 | 理由・注意点 |
---|---|---|
メーカー純正クーラント | ◎ | 成分が適合し、冷却性能・防錆効果が保証されている |
希釈済クーラント | ◎ | すぐに使えるタイプ。成分が均一で初心者にも安心 |
水道水 | × | ミネラル分が固着し、腐食や目詰まりの原因になる |
蒸留水(純水) | △ | 緊急時のみOK。長期使用や単独使用は不可 |
補充する際は必ず同一タイプ・同一成分のクーラントを選ぶことが大前提です。蒸留水は一時的な応急処置には使えますが、冷却性能や防錆効果がないため、後日クーラントへの交換が必須です。
違う色のクーラントを混ぜたらどうなる?
異なる色のクーラントを混ぜると、冷却性能が不安定になったり、成分同士が化学反応を起こして沈殿やゲル化する可能性があります。色の違いは単なる視覚的なものではなく、成分の違いを示しているため、混合は避けるべきです。
色の種類 | 主な成分・特徴 | 採用車種の傾向 |
---|---|---|
赤 | 有機酸系(OAT)、長寿命、サビに強い | トヨタ・日産などの国産車に多い |
青 | ハイブリッド型(HOAT)、安定性と耐久性に優れる | ホンダ・スバル・一部輸入車 |
緑 | 無機酸系(IAT)、冷却性は高いが寿命は短め | 古い国産車や一部軽自動車など |
色によって成分が異なるため、混ぜてしまうと成分間で化学反応が起き、ゼリー状に固まる・沈殿物が発生するなどのリスクがあります。これにより冷却性能が著しく低下し、冷却ラインの詰まりやエンジンのオーバーヒートにつながる可能性もあります。
そのため、クーラントの色と種類は必ず一致させることが鉄則です。たとえ性能が似ていても、メーカー仕様に従って正確な製品を使用することが、エンジントラブルを避ける最善の方法です。
液が頻繁に減る場合の応急処置と点検ポイント
冷却水が短期間で頻繁に減る場合、単なる蒸発ではなく、どこかで漏れている可能性が高いです。まずは目視点検で以下の項目を確認し、異常があれば早急な対処が必要です。
点検ポイント | 確認場所の目安 | 確認方法 |
---|---|---|
リザーバータンク周辺 | ボンネット内、運転席側または助手席側の端 | 液量の急減、タンクの外側に濡れやにじみがないか確認 |
ホースの接続部・継ぎ目 | ラジエーターとエンジンを結ぶゴムホース | ヒビ割れ、滲み、水滴、白い粉状の跡がないか確認 |
ラジエーター本体 | 車の最前部、フロントグリルの裏側 | 前面や裏側に漏れ跡、白い跡、腐食がないか確認 |
一時的な対処として、適合クーラントをFULLラインまで補充し、翌日の減少量を確認してください。再度減るようなら整備工場での診断が必要です。白煙や焦げた臭い、温度計の急上昇などが見られたら、レッカー手配を検討してください。
オーバーヒート時の対処法とレッカー基準
走行中にオーバーヒートが発生した場合、焦らず冷静に対応することが重要です。以下の手順に従えば、被害を最小限に抑えることができます。
エンジンを冷ますため。停車場所は通行の妨げにならないように
液漏れや蒸気の噴出を確認。ただし、触らず冷えるのを待つこと
高温高圧のため危険。冷却後でも必ず厚手の布でゆっくり開ける
自己修理せず、プロに対応してもらうのが最も安全
ラジエーターキャップは高温時に開けるとやけどの危険があるため、絶対に触れてはいけません。JAFや任意保険のロードサービスを活用し、確実な方法で対処することが車と自分を守る最善策です。
ラジエーター液について正しい知識を持つことで、突然のトラブルにも冷静に対応できるようになります。これまでの内容を参考に、定期的な点検と正しい補充・交換を意識して、快適なカーライフを送りましょう。
まとめ
ラジエーター液の減少は、エンジントラブルの前兆であることが多く、見過ごすと高額な修理費が発生する可能性があります。定期点検と正しい補充・交換を行うことで、大切な車を長く安全に保つことができます。以下のポイントを押さえ、日常的な管理を習慣化しましょう。
- 自然減少もあるが、頻繁な減りは故障の可能性あり
- 補充時は「色・種類」を必ず統一すること
- 水道水の使用はNG。必ず純正または適合クーラントを使う
- 車検や点検時に冷却系全体の状態もチェックする
- オーバーヒート時は自己判断せず、レッカーを呼ぶのが安全
これらのポイントを意識するだけでも、冷却系のトラブルを未然に防ぎ、愛車のエンジンを健全な状態で維持することができます。
特にラジエーター液は目立たない部分ではありますが、放置してはいけない重要な要素です。日々の点検を習慣化し、異変があればすぐに対応できる知識を身につけておくことが、車を長持ちさせる秘訣と言えます。
冷却系トラブルは予防が最優先です。日々の点検と正しい知識で、安心して愛車と付き合いましょう。